なめるな!!
こんにちは。 紅茶に砂糖を溶かし疲れたので楽をしようとカルディでガムシロップを買ってきたのですが、結局白砂糖をガムシロップで代用するには何mL入れればいいのか、ノイズが多すぎてググってもよくわからなかった宇田です。
そこらのサイトでは、やれカロリーで評価するならどうだの角砂糖では何個ぶんだの自由闊達な意見が書かれていましたが、エネルギーと甘みは特に関係がないし、角砂糖に至っては規格すら存在しません。 大人を、なめるな。
この記事では、砂糖とガムシロップの簡便にして統一された正当な換算方法を示すことで、調味料を全て粉末で流通させようという悪しき粉体主義者どもの野望を打ち砕き、料理の味ムラをならしていこうと思います。
ガムシロップをキッチンばかりなどを用いて質量で計量する際には規定量の$1.5$倍、大さじなどを用いて体積で計量する際には規定量の$2/3$倍だけ使用してください。 実用上はそれで十分だと思います。
製菓などの目的で換算する際は、ガムシロップとは別個に水分量を調整した方がいいかもしれません。
ガムシロップとスクロースの密度(それぞれ$1.3 \ \mathrm{g/mL}, \ 1.6 \ \mathrm{g/mL}$)を考慮するとその質量の半分は水分であるため、$m_g / 2 \ \mathrm{g}$の水分をどこかで減らすとよいでしょう。
こだわるなら素直に砂糖使え!
ガムシロップの質量から感じる甘味への写像を$f_g$, 白砂糖の質量から感じる甘味への写像を$f_s$とする。 このとき、 $$ f_g(m_g) = f_s(m_s) $$ というような関係にあるガムシロップと白砂糖の質量をそれぞれ$m_g, \ m_s$とすると、これらは定数$a$を用いて $$ m_g = a m_s $$ という比例関係で表せると仮定する。
ここで日新製糖のFAQによると、ガムシロップ$11 \ \mathrm{g}$の甘みは白砂糖$7 \sim 8 \ \mathrm{g}$に相当する。 ここでは間をとって$7.5\ \mathrm{g}$とする。
したがって、白砂糖の質量$m_s$とガムシロップの質量$m_g$の間には次の関係が成り立つ。 $$ m_g = \frac{11}{7.5} m_s \simeq 1.5 m_s $$
ここで、白砂糖の密度は、DELISH KITCHEN - 大さじ1や小さじ1は何グラム?砂糖や小麦粉だと何グラムになる?によると、大さじ$1 = 15 \ \mathrm{mL}$あたり$9 \ \mathrm{g}$, すなわち$0.6 \ \mathrm{g/mL}$である。
かたやガムシロップの密度は、伴らの研究によると$1.3 \ \mathrm{g/mL}$である。
すなわち、同じ甘みとなるような白砂糖とガムシロップの体積をそれぞれ$V_s, \ V_g$とすると、 $$ 1.3 V_g = \frac{11}{7.5} \times 0.6 V_s $$ が成り立つ。
したがって、 $$ V_g = \frac{2 \times 6 \times 11}{13 \times 15} V_s \simeq \frac{2}{3} V_s $$ という式を得る。
このようにして、粉体主義者どもの「砂糖とガムシロップの換算をあきらめさせることでガムシロップを排斥し、ついで世の中の調味料を全て粉体にしてやろう」という野望は打ち砕かれ、砂糖の依存性を違法薬物にかこつけた悪質な白い粉ジョークもついでに粉砕されました。 平穏と甘いお菓子とティータイムを求める、優雅でかわいく温厚な民の勝利は目前です。
しかし、くれぐれも油断することのないように。 やつらはいつでもわれわれの手元の調味料を狙っています。 このあいだは出汁が顆粒にされました。 われわれはどうしてもやつらに勝利し、流動性を、計量カップの底にひっつかなビリティを、そして揮発性の芳香を守らなければなりません。 行きましょう! 旗を担いで! 田畑を越えて! そして、粉体主義者の根城を、やつらがそう望む通りに粉砕してやるのです!!
(万雷の拍手)
8/1 - 計算ミスにより修正 8/6 - 引用ミスにより修正
2024-07-31, 書いた人: 宇田
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